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東京都の「中小企業の賃金事情」を批評する!/鵜呑みにしたらトンデモナイことになる<14>

東京都の「中小企業の賃金退職金事情」に載っている年齢別賃金は、世間相場を反映していない

◇ 東京都の賃金の額をじっくり見るとトンデモナイ額だとわかる
人事部長  東京都の「中小企業の賃金退職金事情」は、素晴らしいですね。年齢別・性別・企業規模別・職位別に区分されていて、申し分ないですね。

北見  そうでもないのです。その東京都の「中小企業の賃金退職金事情」の「年齢別の賃金」をじっくりとみていくと、違和感があるのです。例えば平成22年度版の東京都の「中小企業の賃金退職金事情」を例に出してみましょう。その一例が「高卒 男性」の部分です。その賃金の額を丹念に読むとありえない賃金の額が目に飛び込んできます。ここに「50〜54歳 所定内賃金374071円 年間給与額567万円」となっていますね。この「所定内賃金374071円 年間給与額567万円」という金額は、実際にはありえないです。

人事部長  ありえない、というのは何が根拠ですか?

北見  私は過去数万規模の賃金を調査してきた人間です。その人間のカンです。これはあり得ないと断言しても良いです。

人事部長  ということは、東京都の「中小企業の賃金退職金事情」はウソだと言うのですか?

北見  ウソかどうかは知りません。私が言いたいのは「中小企業の賃金退職金事情」に載っている年齢別の所定内賃金、年間給与額はあり得ない額だということです。

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私は、気になって、東京都の「中小企業の賃金退職金事情」の「年齢別の賃金」を過去に遡って更にチェックしてみました。やってみたのは、平成22年と、平成12年との比較でした。その両方を自分で打ってみたのです。それが次の表です。
まず「実在者賃金その(1)」は、高卒の男性社員の所定時間内賃金です。その「50〜54歳」の部分を見ましょう。平成12年は424319円でした。平成22年は374922円でした。49397円のダウンです。
この「高卒 男性」は、一部が管理職で、その大半が非管理職として時間外手当をもらう立場だと推察できます。つまり所定時間内賃金のほとんどが時間外手当の基礎賃金になるはずです。もし、この374922円(平成22年)を基礎賃金にして時間外手当を計算したら、時間外手当はすぐに10万円を超します。つまり賃金の総額が50万円近くになるわけです。
ここで素朴に考えて下さい。イマドキ、一般の社員に対して、賃金の総額で50万円近くを払う会社があると思いますか?

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人事部長  一般的には、そんなに高い賃金を払っていないと思います。だいたい、50代前半の一般社員で、残業せずに37万円も出してくれる会社は、中小企業であまりないでしょう。

北見  役所は、賃金の調査結果を公表しますが、その金額を聞いた庶民の多くは、素朴に違和感を持つことが多いです。「そんなに高いかなー」という感想です。その素人の皮膚感覚は、たいていの場合、一番的を射ていることが多いのです。

人事部長  「ズバリ! 実在賃金」では、いくらの賃金ですか?

北見  「ズバリ! 実在賃金」は、学歴別に出していません。職位別です。「50歳 一般 男性社員」の賃金は、平成22年度のデータで次の通りです。

首都圏版「ズバリ! 実在賃金」(東京都+千葉県+埼玉県+神奈川県)
所定内賃金   304000円 
賃金の総額   336000円


東京都のみの「ズバリ! 実在賃金」では、次のような金額になります。
所定内賃金   316000円 
賃金の総額   359000円


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