消えた年収>落ち込み率が全国最大の東北地方 「もう出稼ぎに出るほかないのか」
仙台<仙台国税局管内の指数>
給与総額(0.83)=勤労者数(0.92)×平均年収(0.90)
<うち中小企業の指数>
給与総額(0.80)=勤労者数(0.89)×平均年収(0.90)
◆「給与総額0.83」となり全国で最も大きな落ち込み率になった東北地方
仙台国税局は、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県で、東北地方一帯をを管内にしている。東北地方の勤労者が受け取る給与総額は、10兆7300億円から8兆8600億円になり、1兆8600億円減で0.83。つまり17%、四捨五入すれば2割近くも減ったということだ。この落ち込み率は、全国1位である。
東北は、地域として成り立たなくなりつつあるほど疲弊しているようだ。
◆勤労者数の激減が最大の要因
東北地方の給与総額が減少した最大の要因は、勤労者数が減ったためだ。
男女合計で、281万人から258万となり、22万人減で0.92。この人数減は、全国で一番多い数の減り方である。おそらく多くの人が出稼ぎに出て、故郷を去らざるをえなかったのだろう。
男性は、169万人から149万人になり、19万人減で0.89。
女性は、111万人から108万人になり、3万人減で0.97。
◆平均年収の低下もひとつの要因
平均年収の低下も、給与総額減少の要因だ。男女合計の平均年収は、382万円から343万円になり、38万円減で0.90。
男性は465万円から422万になり、42万円減で0.91。
女性は、もともと年収が低いためか男性ほどの金額ではないためか、255万円から234万円になり、21万円減で0.92。
ちなみに、男女合計の平均年収343万円というのは、沖縄(333万円)に次いで下から2番目である。それだけ低い年収が更に下がったのだから、暮らし向きはさぞかし苦しくなったことだろう。
◆「300万円以下」が半数を超えるまでに
平均年収を「300万円以下」「300万円超700万円以下」「700万円超」に区分したのが表Dである。「300万円超700万円以下」の割合が49%から42%になり、大幅に減少しているのがわかる。そして、それに伴って「300万円以下」の割合が42%から51%(全国平均は38%)へ激増している。
◆表D 仙台国税局年収分布推移