消えた年収>中間層が没落 そして「300万円以下」に落ちていった!
著者は、給与を分析するにあたって「分布」というものを重んじる。「平均値」をみるだけでなく、むしろ「分布」をみることによって傾向をつかむべきだと考えている。そこで色々な分布グラフを作ってみた。本統計は、年収が100万円単位でまとめられていて、そこに勤労者の人数が載っている。そのデータをもとに表B(男女計)を作ってみた。ここでは年収を「300万円以下」「300万円超700万円以下」「700万円超」という3つに区分した。すると次のようなことがわかった。
◎「300万円以下」は32.2%→38.6%に上昇し、
約4割を占めるまでになった。
◎中間層にあたる「300万円超700万円以下」は
50.3%→46.7%に減り、没落傾向
◎比較的高額でいわばエリートに該当する「700万円超」は
2.8ポイント減り14.7%へ
この推移は、要するに「中間層の没落」と「低所得者の増加」を意味する。最近の言葉でいうところの「下流化」である。
そういえば、第一生命のサラリーマン川柳にこんなのがあったのを思い出した。
「中流のつもりが下流で溺れてる」(ビート留守)
「中流が下流社会に流れこみ」(オタクのアナタ )
このように低所得者が増える一方で、高額所得者はどうなっているのだろうか?
そこで「高額所得者」といえる「年収1000万円超」の勤労者数をチェックしてみた。
その人数は263万人から232万人へと減っていた。その比率も5.8%から5.1%へと下がっていた。
つまり、二極化が進んだのではなく、単に低所得化が進んだのである。
◆表B 年度別平均年収階級割合比較表(男女計)