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消えた年収> 「国税庁の民間給与実態統計調査」は「民間勤労者全員」の統計

 公的な給与統計の信憑性に疑問を投げかけている著者だが、これだけは信頼できると思っているものがある。それが国税庁の「民間給与実態統計調査」だ。このデータは、ホームページ上で誰でもみることができる。これは、民間勤労者の給与事情を探るには最高の基礎データとなってくれる。

 (調査の概要)
 この調査は、民間企業における年間の給与の実態を、給与階級別、事業場規模別、企業規模別等に明らかにし、あわせて、租税収入の見積り、租税負担の検討及び税務行政運営等の基本資料とすることを目的としている。昭和24年分から始まり、以後毎年実施。
 この調査の特色は、次のとおりである。
(1) 従事員1人の事業場から従事員5千人以上の事業場まで広く調査している。
(2) 給与階級別、性別、年齢階層別及び勤続年数別による勤労者の分布が分かる。
(3) 企業規模別(事業場の属する企業の組織及び資本金階級別)に給与の実態が分かる。

 (勤労者とは?)
 この調査は、各年12月31日現在の勤労者を対象としている。ただし、次に掲げる者は調査対象から除外されている。
(1) 労働した日又は時間によって給与の金額が算定され、かつ、労働した日にその都度給与の支給を受ける者(これはいわゆる「日雇い」のような人は除くという意味。パートタイマーは「調査対象に含んでいる」とする)
(2) 国家公務員、地方公務員、公庫職員等
(3)  全従事員について源泉所得税の納税がない事業場の従事員

 (勤務年数とは?)
 勤労者は勤務年数によって、次のように区分している。
(1) 1年を通じて勤務した勤労者(1月から12月まで引き続き勤務した者)
(2) 1年未満勤続者(年の中途で就職した者のうち、12月31日現在在職している者)

 (給与とは?)
 ホームページをみると「給与とは各年における1年間の支給総額(給料・手当及び賞与の合計額をいい、給与所得控除前の収入金額である)で、通勤手当等の非課税分は含まない」という説明がなされている。本統計では、次のような用語を使っている。

  給料・手当=時間外手当を含んだ月次の給与総額のこと
  賞与=年間でもらった賞与の総額のこと
  給与=いわゆる年収のこと。(給料・手当×12ヶ月間)+賞与

 つまり、本統計では「給与」というのは「月次の給与」という意味ではない。ただし一般的には「給与」といえば「月次の給与」のことを指すものだ。そこで本書では次のように用語を置き換えて統一させていただく。

  給料・手当→「給与」とする
  賞与→そのまま「賞与」とする
  給与→「年収」とする

 (平均年収とは?)
 給与支給総額を勤労者数で除したものである。

 (給与総額とは?)
「給与総額」は「平均年収×勤労者数」という算式で出される。

 (事業場・会社の規模とは?)
「事業場規模」は、各年12月31日現在の事業場(企業ではない。いわゆる工場など事業場単位)の従事員数による区分である。
「企業規模」は、各年12月31日現在の事業場の属する企業の組織及び資本金による区分である。

 (国税局とは?)
 この給与データは次の国税局単位でまとめられている。県単位のものはない。
札幌国税局(北海道)
仙台国税局(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東信越国税局(茨城、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野)
東京国税局(千葉、東京、神奈川、山梨)
金沢国税局(富山、石川、福井)
名古屋国税局(岐阜、静岡、愛知、三重)
大阪国税局(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
広島国税局(鳥取、島根、岡山、広島、山口)
高松国税局(徳島、香川、愛媛、高知)
福岡国税局(福岡、佐賀、長崎)
熊本国税局(熊本、大分、宮崎、鹿児島)
沖縄国税事務所(沖縄)

<国税庁URL>
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2007/pdf/000.pdf