消えた年収>全国から人が集まったが、給与の低いサービス業の仕事ばかり増加した東京
東京<東京国税局管内の指数>
給与総額(1.02)=勤労者数(1.04)×平均年収(0.98)
<うち中小企業の指数>
給与総額(0.95)=勤労者数(0.96)×平均年収(0.98)
◆全国で給与総額が唯一増えた首都圏だが、平均年収は下がっている
東京国税局は、東京都、千葉県、神奈川県、山梨県を管轄している。給与総額が10年前よりも増えた唯一の地域である。
その給与総額は、さすがにボリュームが大きく、日本全体の37%を占めている。その給与総額は70兆9776億円から72兆4911億円になり、1兆5134億円増で1.02。
給与総額が増えたのは、人数の増加によるものだ。人数は1349万人から1408万人になり、59万人増で1.04。
平均年収は、526万円から514万円になり、11万円減で0.98。
◆男性 人数が増えたが、年収は減少
男性は、給与総額が56兆5462億円から57兆952億円になり、5489億円増で1.01。給与総額がわずかだが増えたのは、人数が増えたことの要因だ。男性の人数は873万人から905万人になり、31万人増で1.04。だが平均年収は、647万円から630万円になり、16万円減で0.97。
◆女性 人数が増え、平均年収は横ばい
女性の給与総額は、14兆4314億円から15兆3959億円になり、9645億円増で1.07。給与総額が増えたのは、人数が増えたことの要因だ。
女性の人数は475万人から503万人になり、27万人増で1.06。その平均年収は303万円から305万円へと横ばいで、1.01。
◆「年収300万円以下」の比率が上昇
平均年収を「300万円以下」「300万円超700万円以下」「700万円超」に区分した場合の比率は表Nの通り。「300万円以下」の比率は、26%から30%へと高まった。首都圏で300万円以下で暮らすのはさぞかし大変なことだと推察する。兼業農家の多い地方とは生活費のコストが違う。
「300万円超700万円以下」は49%から47%へと減った。もっと下の300万円以下に流れ込んだのだ。また「700万円超」の人の比率は23%から22%となり、ほぼ維持している。
高額所得者の比率が高いのも、やはり東京の特徴だ。東京・名古屋・大阪の19年のデータを比べると次のようになる。
「300万円以下」 「300万円超700万円以下」 「700万円超」
東京 30% 47% 22%
名古屋 36% 49% 13%
大阪 38% 46% 15%
◆表N 東京国税局年収分布推移