東京都の「中小企業の賃金事情」を批評する!/鵜呑みにしたらトンデモナイことになる<10>
「ズバリ! 実在賃金」は「賞与ゼロの人」も含めて、賞与の分布をグラフにする人事部長 なるほど、それでは北見氏の作成している「ズバリ! 実在賃金」の場合は、賞与はどうなっているのですか?
北見 首都圏版の「ズバリ! 実在賃金」(平成22年度版)の賞与のデータをここに載せましょう。私は、平成19年の賞与のデータと比較しました。そうすればリーマン前とリーマン後の変化がわかるからです。
まず賞与を支給していない割合ですが、企業数は、平成19年が8%でしたが、平成22年は13%に増えました。次に従業員数は、賞与がゼロだった人の割合は10%から9%になりました。
人事部長 賞与を支給できない企業が増えてる、というのは実感と合っています。
北見 従業員がもらった賞与を男女別・階層別に区分して分布図を作りました。「ズバリ! 実在賃金」の場合は、賞与ゼロの人も含めて%を出しています。次の図は、「首都圏 男性 30代」の年間賞与額です。
ちょうど、ど真ん中の人の値である「中位数」は80万円から67万円に落ちました。そして注意して見て欲しいのは「ゼロ」の値です。「ゼロ」は9%から9%で変わりませんが、「0円超30万円未満」は5%から15%へと跳ね上がりました。
そして一方では「150万円以上」は12%あったのに7%に落ちてしまいました。
人事部長 へえ、随分リアルなグラフですね。これが本当の実態なのですね。
北見 まだ衝撃的なのがあります。「ズバリ! 実在賃金」の「首都圏 50代 管理職」の賞与です。中位数は157万円から111万円に落ちました。「ゼロ」および「年間60万円未満」の合計%は、18%から21%に跳ね上がりました。一方、「300万円以上」は9%から2%へと激減しました。
人事部長 随分刺激的なグラフですね。
北見 女性の賞与ももてみましょう。「ズバリ! 実在賃金」の「首都圏 50代 女性」の賞与を見ると、次のようになっています。「ゼロ」および「30万円未満」の合計値は、22%から35%に跳ね上がっています。
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