東京都「中小企業の賃金退職金事情」
東京都は「中小企業の賃金退職金事情」を出している。だが、その賃金のデータは疑問だらけで、それ鵜呑みにして、賃金の制度を作るべきではない。(株)北見式賃金研究所。「ズバリ! 実在賃金」ドットコム◇ 人事部長からの相談 「賃金の制度の見直しを命じられました」
人事部長 私は銀行員ですが、取引先に出向を命じられました。出向先は東京都の中小企業です。出向してみると、そこの社長から「人事部長になって欲しい」と言われました。人事部長といわれても、これまで銀行員でしたし、銀行で人事の仕事をしていたわけではないので、面食らいましたが、お断りもできませんので、お受けしました。
その人事部長としての最初の仕事は、賃金の制度の見直しでした。賃金の制度といわれましても、私はまったくの素人ですから、正直困っています。何を頼りにしたら良いのかわかりません。
最初に教えて欲しいのは、中小企業の賃金の相場です。何か参考になるものはありませんか?
北見 東京都では、一般的に東京都が出している賃金の統計がよく使われています。インターネットで「東京都 中小企業の賃金事情」(年によっては「東京都 中小企業の賃金退職金事情」)と検索すると出てきます。
◇ 東京都の「中小企業の賃金事情」を鵜呑みにしたらトンデモナイことになる
人事部長 この「東京都の中小企業の賃金事情」は、東京都が出しているものだから、信用しても良いですよね? 絶対大丈夫ですよね? これを基準にして、根拠にして、当社の賃金の制度を見直しすれば、的を得たものになると考えて良いですよね?
北見 東京都が出している賃金の調査ですから、一応、信用しても良いと思います。ただ、鵜呑みにするのはマズイです。賃金の統計は、いくら賃金の額が正確であったとしても、その分析方法によって、色々な見方がでてきます。その賃金のデータの意味するところをじっくり考えないと、誤解が生じる元であり、大変危険です。
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